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2020.09.01 研究費設置企業のご紹介

植物の新たな可能性を引き出すプラットフォームを共創する 株式会社プランテックス

創業者&取締役 坂口 俊輔 氏(写真左)
企画マネージャー  竹山 政仁 氏(写真右)

株式会社プランテックスは、2014年に産業用工場の技術者らが立ち上げた完全人工光型植物工場を開発するベンチャー企業だ。彼らは、エンジニアリングを駆使して開発した、植物成長過程の数式化と独自開発した植物栽培装置を用いて、植物の生産性向上だけでなく、植物科学分野の研究にも貢献していきたいと考えている。同社の坂口氏と竹山氏に今回のリバネス研究費設置の狙いを伺った。

植物成長を制御するシステム「SAIBAIX」

世界的に進む農村人口の減少と都市人口の増加により、農村で生産し都市で消費する食料生産の常識に変革が求められている。完全人工光型植物工場は、「省スペース・省資源で農村・都市を問わずに食と健康と安全・安心を提供できる」という特徴を持つことから、これらの変革を実現する一つアプローチとして期待されている。しかしながら、完全人工光型植物工場の技術は未だ発展途上にあり、単位時間当たりの植物成長量に応じて、水・肥料・CO2・光が、最適に投入されているとは言えない。
プランテックスには、データサイエンスや産業用工場の「工程分析」と「工程制御システム」を開発するエンジニアが集まっており、坂口氏もその一人だ。植物工場の可能性に感銘を受け、工程制御システム開発の経験を活かした植物成長制御システム「SAIBAIX」を開発した。30 を超えるセンサーから得られた光や気温などの値が SAIBAIX に入ると、植物成長を制御する指標値が得られる。これまでに既存の完全人工光型植物工場に本システムを導入し、植物の成長を制御することで生産性を向上させた実績もある。

環境条件の制御から辿り着いたクローズド方式

同社は、独自開発した植物栽培装置を SAIBAIX と組み合わせることにより、一般的な完全人工光型植物工場に比べて生産性が約 5 倍という極めて高い結果を導出した。生産コストは変わらず面積あたりの生産性が高まれば、販売量の増加をもたらし、売上高の向上による経済性の確保が可能だ。
この装置は、既存の環境制御された室内に植物栽培装置を設置する方式とは異なり、植物栽培エリアを室内から完全に遮断したクローズド方式という特徴を持つ(写真)。クローズド方式に至った理由の一つは、栽培空間外への光の漏れをなくし、光の利用効率を高めることにある。「植物工場のコンサルティングを始めた 2014 年当初から、成長速度を最大化するために、LED から出力された光が半分以上使われず無駄になっていることを改善できないか」と坂口氏は考えていた。成長モデル通りに成長パラメータを制御できる装置を突き詰めていくうちに、今の方式に至った。装置を完全密閉することで植物栽培における物質・エネルギー収支や環境条件が正確に把握でき、SAIBAIXの可能性を最大限引き出すことができる。
さらに、この装置は高い生産性だけでなく、高い再現性を得ることが可能だ。植物栽培の研究経験のある人ならば、同じ環境条件を設定したとしても何かしらの外乱により植物の成長に違いが出た経験はないだろうか。この装置を用いれば、環境条件を正確に制御できるため、繰り返し栽培しても決められた栽培日数でのレタスの生産量が 1% 程度以下の誤差しかないという驚くべき精度を実現できる。

社会実装を目指す研究者との連携へ

 この装置を研究分野で活用できれば、植物の新たな可能性を引き出すことができるのではないかと考えている。修士課程まで農学を学んだ竹山氏は、農学の研究では実学的側面も重視される一方、既存の農業では再現性が得られにくいことが、研究成果を実用化するうえで障害となっているのではと感じている。「プランテックスはエンジニアリングの力で再現性の高い植物栽培を実現した。従来の仕組みでは応用が難しい研究テーマであっても手法を工夫することで社会実装がみえてくる」と意気込みを語る。坂口氏も「商業的な意味合いで、最初はレタスから装置の実装を始めているが、あらゆる植物を対象にしていきたい」と語る。この技術が応用できる範囲は、食料だけでなく、健康食品や化粧品原料等の生産にまで広がるだろうと考えている。プランテックスが目指すのは植物生産の新しいプラットフォームを構築することだ。 今回の申請では、農学や植物の分野における研究成果を社会実装につなげたいという熱意あるテーマを期待しているそうだ。プランテックスの栽培装置を用いて研究したいというアイデアも歓迎している。同社技術と組み合わされば、既存の研究環境やデータ取得方法では実現が難しかった研究テーマであっても新たな可能性が見いだせるであろう。新しい植物栽培装置と植物科学分野の研究者が組み合わさることで、社会実装する技術が生まれる未来に期待したい。

(文・宮内 陽介)

 

第50回リバネス研究費プランテックス賞 募集開始

募集対象:大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者

  • 海外に留学中の方でも申請可能
  • 研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能

対象分野

植物科学分野に関するあらゆる研究

採択件数

若干名

助成内容

研究費50万円

応募締切

2020年10月31日(土)24時まで

担当者より一言

プランテックスは、栽培理論式「SAIBAIX」を基にして、追跡性・再現性・繰り返し精度の高い植物栽培装置を開発しています。今後は、この装置を植物の生産性向上に使うだけでなく、実験装置として植物科学分野へ展開、研究に活用してもらいたいと考えています。植物の成長プロセスを可視化したい、これまでに設定できなった環境条件にして研究を行いたいなど、本研究費では植物科学分野で社会実装していきたいと考えている独創的な研究や先進的な研究を幅広く募集します。

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