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2019.12.01 研究費設置企業のご紹介

アカデミアと共に、抗体の可能性を拡張しうる次世代の技術を開発する 株式会社カイオム・バイオサイエンス

カイオム・バイオサイエンスは、抗体医薬により「医療のアンメットニーズに創薬の光を」当てることをミッションに掲げるバイオベンチャー企業だ。医薬品を生み出すため、アカデミアと製薬企業との橋架け役として、創薬シーズを創製・導出する役割をも果たしている同社が、今回リバネス研究費を設置する狙いを聞いた。

独自の抗体技術で医療のアンメットニーズに挑む

カイオム創業時からその基盤を支えてきたのが、in vitroでの抗体作製技術「ADLibシステム」をはじめとする、独自の抗体作製やタンパク質調製技術だ。創業当初はこの技術を武器に、大手製薬企業等との共同研究などを進めてきたが、その後、他の抗体関連の技術系ベンチャーを買収するなどを経て、現在では自社独自の創薬パイプラインを複数走らせ、シーズ発掘から創薬までを一気通貫で行う体制を構築中だ。今年度、リバネス研究費を実施する狙いとして、「私たちの基盤となってきた技術を今後も磨くのはもちろんですが、将来を見据えて、外部のユニークな技術アイデアを持つ研究者とも連携を深めていきたい」と山下氏は話す。

技術とシーズは車の両輪

2017年度から同社は毎年リバネス研究費を活用してきた。昨年、一昨年にリバネス研究費を実施した際には、難治性疾患・希少疾患の創薬シーズを対象にし、研究費をきっかけにいくつかの連携事例も生まれつつあるという。一方、今回の募集テーマは、抗体医薬の基盤となる次世代のあらゆる技術がターゲットだ。「いくら良い抗体をつくっても、効かなければ意味がありません。例えば、きちんと患部にデリバリーされること。より安定で、効果を発揮できる抗体エンジニアリング。創薬においては、シーズも技術も車の両輪なのです」。パイプライン強化の努力は継続する一方で、その基盤となる技術の重要性に目を向けているのだ。

求む、抗体の概念を拡張するアイデア

「既存の抗体の形式にこだわらず、抗体の概念を拡張するような、自由な発想をぜひ寄せてほしい」と山下氏は強調する。大きな課題では、抗体は分子量が大きいため、浸透性・透過性が低く、低分子の化合物に比べて生体内で到達できる範囲が限られるというドラッグデリバリーシステム(DDS)の課題がある。例えば、抗体は皮膚や粘膜を透過できないため血中投与が必要となる。そのため投与方法が注射主体となるが、これは医師にも患者にも負担が大きく、「飲む」「貼る」といった侵襲性が低い新たな投与法が求められている。また、脳内の血管から脳組織への薬剤移行を妨げる血液脳関門をいかに突破するかも課題だ。もし、こうした課題を打破できればこれまで届かなかった場所に抗体を届けることができ、大きなブレイクスルーになる。
抗体の特異性は活かしつつ、薬剤や機能性分子を結合させて治療効果を高める治療法も近年注目されている。例えば、近赤外光で熱を持つ分子を結合させた抗体を用いた膵がんに対する光免疫療法については、カイオム自身、すでに東京慈恵会医科大学との共同研究に取り組んでおり、こうした新規療法には強く関心を抱いている。
また、抗体改変や親和性向上などの抗体エンジニアリングも、今後さらに重要性が増していくと予想される。現在、カイオムでは「ADLibシステム」のように細胞を用いた手法を強みにしているが、「将来的には、AIに抗体配列を設計させて人工合成する手法が主流になる可能性もある。抗体のバイオエンジニアリングに関心がある、工学系や情報系の方からも、挑戦的な提案を期待したい」という。

アカデミアの知見を創薬に橋渡しする

アカデミアの研究者にとって、カイオムは今後どんな存在になっていくのだろうか。「大学の基礎研究と創薬の間にあるギャップに対して、我々は抗体の観点から薬にするにはどうしたらいいかという知見を提供し知恵を重ねたいです。抗体医薬で創薬を、と研究者が考えた時に、最初にドアをノックしてもらえる存在でありたいですね」と美女平氏は語る。大手製薬メーカーとは異なり、まだ初期段階のエッジの立っている研究にも強く関心を持ち、研究者とフラットに議論できるのが同社の特長でもある。創薬の基盤になりうる技術を創薬で使える形に変えていく、インキュベーションする存在としてのカイオムの価値を打ち出し、今後さらに幅を広げていくのは間違いないだろう。(文・塚越 光)

第47回リバネス研究費カイオム・バイオサイエンス賞 募集開始

募集対象:大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者

  • 海外に留学中の方でも申請可能
  • 研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能

募集分野

抗体医薬の可能性を拓くためのあらゆる研究

次世代の抗体医薬の作製・調製手法、ドラッグデリバリーシステム、抗体改変や親和性向上などの抗体エンジニアリングなど、将来的に抗体医薬の可能性を広げるための基盤となりうる研究を募集します

採択件数

若干名

助成内容

研究費50万円(マイルストーンにより最大300万円の研究費を助成する場合もあります)

応募締切

2020年1月31日(金)24時まで

担当者より一言

株式会社カイオム・バイオサイエンスは、医療のアンメットニーズに創薬の光を当てるというミッションのもと、抗体医薬の研究開発を行なっています。研究開発を今後さらに加速するには、高機能性の抗体をいかに効率的に作製・調製するか、いかに狙った患部に効果的に抗体を届けるか、分子改変により親和性など抗体の機能向上をいかに図るかなど、技術的な進化が不可欠です。そこで今回は、将来的に抗体医薬の可能性を広げるための基盤技術となりうる研究テーマを広く募集したいと考えています。具体的には、以下のような研究が対象となります。

・次世代の抗体医薬の作製手法、調製手法

・効率的に患部に抗体を届けるためのドラッグデリバリーシステム

・抗体改変や親和性向上などの抗体エンジニアリング

・抗体を活用した、疾患の新たな治療法

・抗体の人工合成やAIによる配列設計

など、ぜひ300万円規模の研究テーマをご応募ください。

申請はこちらから

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リバネス研究費の申請について

皆様のご応募お待ちしております。