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自動化が進むなか“ひと”にこだわった飲食店の価値とは 株式会社𠮷野家

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株式会社𠮷野家
未来創造研究所 未来施設・設備 部長 春木茂氏

どこまで科学が進歩しようとも「ひと」本来の価値を大切にしたい。あらゆることが自動化や無人化へとシフトし始めているなか、𠮷野家ではひとを中心に置きながらテクノロジー活用で、価値の最大化を計ろうとしている。𠮷野家が研究者と目指す「ひと」と「テクノロジー」が共存した飲食業の未来について聞いた。

変化の時代に飲食店を再定義する

 飲食業では、宅配やテイクアウトを快適化するサービスが進化し続けており、社会的な背景も加わってその流れは加速している。その市場の中でも、これまでとは異なる役割や価値に光が当たりつつある。変化の時代だからこそ、加速度的に様変わりする生活様式に合わせて飲食業の価値を再定義する必要があるのではないだろうか。𠮷野家では2025年に向けた長期ビジョンとして、「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードに、ひとが介在することの価値を最大化する未来に向けた取り組みを店舗に実装してきた。例えば「つながる食堂」では、東京と大阪の2店舗間をハイクオリティーの映像と音声で接続することで、離れている家族や友人同士でも気軽に食事が楽しめる環境を提供している。目線を合わせて話せる技術が実装されているため、本当に一緒に食事していると感じられることが特徴だ。家族での久しぶりの食事は、時に話題が途切れてしまうこともある。それでも一緒に食べる、食卓を囲むことで温かみのある楽しいひと時が広がっていく。つながる食堂もそんな大切な時間やつながりを楽しんで頂ける機会になればと、春木氏は話す。つながる食堂を通じて、新しいコミュニケーションの形にチャレンジしているのだ。このように「ひと」が元々持っている価値にテクノロジーを組み合わせることで、価値が最大化される可能性を日々模索している。

構想で終わらず店舗での実装まで走り切る

「ひと」の価値を最大化するために、テクノロジーを持った研究者と新たな研究テーマを共創し、実際の店舗で検証から実装までシームレスに研究開発を進めているのが、未来創造研究所だ。例えば、従業員のシフト表を自動で作成する「勤務スケジュール作成支援ソフト」では、AIと行動心理学を活用して、シフト表上の欠員への候補者をリコメンドする機能を搭載している。これまでは欠員への出勤候補者を見つけることに苦労する場面もあったが、応諾の可能性が高い方のリコメンドと行動心理学上の交渉アドバイスを受けることで、店長と従業員双方にとって快適なやりとりの機会が増えてきたという。また、食器洗浄作業の軽減を目指し、協働ロボットを活用した「自動食器洗浄ライン」も一部店舗へ実験導入された。「ひと」こそが価値を生む源泉と考え、かつ従業員も生き生きと働ける、お客様とのコミュニケーションに集中できる環境を構築しようとしている。
 これらの研究開発を店舗実装に繋げていけるのは、未来創造研究所のメンバーのそれぞれが、店舗の課題を深く理解していることが大きい。それに加えて、外部との共創に取り組み始めてから5年が経ち、研究者や技術者の「熱意」と新しいものを生み出すプロセスをよく理解しているからこそ、困難な研究テーマでも勇気を持ってその背中を後押しし、実装まで共に走り切ることができている。それゆえ、応募者にいきなり本質的な提案を望んでいるわけではない。勤務スケジュール作成支援ソフトの開発時も、方々に持ちかけては出来ないと断られてきた中、AI研究の事業化を進めていたエクサウィザーズ社との共創により開発が動き出した。そして、行動心理学の部分については社会心理学者の正木先生(東京大学特任研究員)の力を借りて加速することができた。研究者ならではの視点と𠮷野家の視点が掛け合わさることで、当初は困難だったことでも新たなアイデアが自然と生まれ、ブレイクスルーが起きるのだ。

研究者ならではの視点で飲食業をアップデート

 𠮷野家の店舗を研究のフィールドとして活用しながら、未来の飲食業における新たな価値創造を目指し、テクノロジーの発掘に取り組んでいるのが、リバネス研究費𠮷野家賞である。ただし、テクノロジーといっても、ロボットによって調理から食事提供まで全てが自動で行われるようなものを望んでいるわけではなく、あくまで「ひと」の価値を最大化するような研究開発を目指している。例えば、過去の研究費では、
「五感と感性や行動の関連性を追求する研究」というテーマ募集に対して、「超高周波音と食の嗜好性の関係に関する研究」が採択された。これは、人間が認知できない超高周波音が人の認知機能や情動に影響を与えることを活用し、より美味しく食事ができたり、リラックス空間を実現する研究だ。利用者とサービス提供者の双方がいい気持ちで価値を交換することのできる店舗となり、まさに「ひと」の価値を最大化する研究テーマと言える。このような斬新なアプローチこそ、社外に求めたいもので、たとえすぐに課題解決へつながらなくても、研究者ならではの視点を大切にしたい。「店舗や飲食業全体で活用できそうな内容であれば、どんな研究でも構いません。まずはトライしてみて欲しい」と春木氏は話す。「ひと」本来の価値とテクノロジーを組み合わせることで、飲食店が社会において発揮できる新たな役割が生み出させると信じている。人と人との繋がりが希薄になりつつあるこの時代において、研究者との共創を通して飲食業に秘められたポテンシャルを未来に向けて拓いていきたい。

第49回リバネス研究費𠮷野家賞 募集開始

募集対象:大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者

  • 海外に留学中の方でも申請可能
  • 研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能

対象分野

テクノロジーを活用して飲食業をアップデートするあらゆる研究

ロボティクス、データサイエンス、情報通信、XR、コミュニケーション、薬学、医学、材料工学、電子工学、人間行動学、心理学、経済学、建築学、デザイン、ものづくり、など分野を問わず幅広い科学・技術分野の研究を募集します。

採択件数

若干名

助成内容

研究費50万円+店舗等を研究・実証試験フィールドとして提供

応募締切

2020年8月31日(月)24時まで

担当者より一言

飲食業では、宅配やテイクアウトを快適化するサービスが進化し続けており、社会的な背景も加わってその流れは加速し、これまでとは異なる実店舗の役割や価値に光が当たりつつあります。𠮷野家では、加速度的に様変わりする生活様式に合わせて飲食業の価値を再定義する必要があると考え、様々な取り組みを行っております。「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードに掲げる𠮷野家では、無人店舗を目指すわけではなく、ひとがやらなくても良いことはロボットやAIなどのテクノロジーを駆使し、お客様とのコミュニケーションを大切に、従業員も生き生きと働ける環境の構築を目指しています。今回の研究費はすぐに実装できることでなくても大丈夫です。分野を問わず自由な発想で、飲食業をアップデートする研究テーマを募集します。また、研究費をお渡しするだけでなく、実際に𠮷野家の店舗等を活用した研究や実証試験も全面的にご協力いたします。

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リバネス研究費の申請について

皆様のご応募お待ちしております。

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