リバネス研究費

2024年9月公募第66回リバネス研究費

第66回 プランテックス先端植物研究賞

設置企業インタビュー記事
株式会社プランテックス
企画室長 竹山 政仁 氏(左)
技術本部 研究員 黒田 凌 氏(右)

研究者と共に植物生産の未来を創りたい

株式会社プランテックスは「世界の食と農に新しい常識を」を理念に掲げ、独自の植物栽培装置と植物成長制御システムを用いて、生産現場だけでなく研究への展開を行ってきた。事業を拡大しながら着々と成長を続ける同社が、研究者とどのような連携を目指しているのかを伺った。

研究成果を量産につなげる植物栽培システム

プランテックスは、2014年に産業用工場の技術者が集まって立ち上げた、植物工場を手掛けるベンチャー企業だ。開発した「クローズドタイプ」の植物栽培装置と植物成長制御システムを用いて、光、空気、水といった環境条件を厳密に制御し、植物を栽培することで品質の安定化や特定成分の含有量の向上ができる。「植物は食や医薬品原料として人の健康を支えています。その植物の機能性等を最大限に高めながら安定して量産できるポテンシャルがこの装置にはある」と竹山氏。同社の装置には、研究用のType XSと量産用のType Mがある。Type XSで植物の生産性や機能性を高める栽培条件を決定し、これをType Mで再現できるため、研究成果を速やかに実装につなげられる。実際に、Type Mは首都圏でスーパーマーケットを展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス株式会社に採用され、本装置で生産されたレタスが都内約200店舗で販売されている。

研究者と自社の強みの掛け合わせを狙う

同社は2022年にプランテックス先端植物研究所を設立、研究にも注力している。2023年5月には、ロート製薬および医薬基盤・健康・栄養研究所と薬用植物の安定的栽培と、それを活用した事業化に向けた共同研究をスタートさせ、順調に進んでいるという。現在、研究所では、Type XSの増設や研究人材の積極的な採用を進めており、さらなる研究体制の強化を行っている。そんな中で入社した黒田氏は元々植物の基礎研究を行っていたが、研究成果を世の中に活用したいと考え、研究と社会実装の両方に取り組む同社への参画を決めた。昨年度の研究費の審査に関わり、自社の技術を申請テーマとどう組み合わせるかを考える機会を得られたという。「基礎研究を専門としていても、ご自身の研究を社会に応用することに興味のある人はぜひ応募して欲しい」と黒田氏は話す。

植物工場の可能性を拓く連携を目指して

「環境制御技術を最大限活かして、これまでにない植物を創りたい」と語る黒田氏。現在は、特徴的な機能性成分を持っている植物に着目しているという。植物や植物工場の可能性の大きさを踏まえると、自社研究のみではとてもそれらを広くカバーすることはできない。だからこそ、研究費を通じて、志を同じくする研究者との連携を目指している。昨年度の申請者とは、新たな試みとして植物研究に対する情熱を語る機会を設け、審査のみで終わらない関係性の構築も進めている。これまで研究費の審査に携わってきた竹山氏も、「将来的に植物工場等を通して社会実装するアイデアや想いがあれば、短期的に事業につながるかどうかは重要ではない。より長期的な視点で、野心的な研究を是非応募いただきたい」と語る。植物の未来を考える研究者のアイデアが、プランテックスの技術で実現され、植物工場の新たな価値が生まれることを願う。(文・八木 佐一郎)

植物の生産性や機能性を高めるあらゆる研究

植物の生産性や機能性を高めるあらゆる研究を募集します。育種や栽培時における光や灌水、施肥などの環境条件の調節等により水耕栽培や養液栽培のポテンシャルを引き出し植物の生産性や機能性を高める研究テーマを歓迎します。

設置企業・組織 株式会社プランテックス
設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円、Type XSの栽培試験環境を提供

スケジュール 応募締切:2024年11月1日(金)18:00まで
審査結果:2025年1月ごろにご連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
プランテックスは環境制御性能を高めた独自の植物工場システムの普及を目指し事業展開しています。植物研究の成果を、工場規模での量産につなげる技術の開発に力を入れてきました。本研究費では、植物の生産性や機能性を高めることを目指す先進的な研究テーマを幅広く募集します。研究成果が将来的に植物工場の用途拡大や価値向上を通じて、世界の食や農業を取り巻く様々な問題解決に寄与することを期待します。
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