リバネス研究費

2024年9月公募第66回リバネス研究費

第66回 日本ハム賞

設置企業インタビュー記事
日本ハム株式会社 中央研究所
所長 岩間 清 氏(中央)
マネージャー 長谷川 隆則 氏(右)
リーダー 浅里 仁美 氏(左)

研究者と共に拓く、たんぱく質の未来

グループ全体で牛、豚、鶏の国内流通量が20%を超える日本ハム株式会社。動物性たんぱく質を全国に広く供給する同社はこれから、「たんぱく質の価値を共に創る企業へ」をキーフレーズとして、アカデミアや様々なパートナーとの協働を通じて、新たな価値を生み出していこうとしている。

たんぱく質供給の使命と新たな挑戦

世界人口が2050年までに98億人に達し、たんぱく質需要は現在の1.7倍になると予測される中、既存の食料生産システムでは供給が不足することが懸念されている。日本ハムは将来に渡ってたんぱく質を供給し続けるため、従来の事業の発展に加え、新領域での事業創造を模索している。社内では「挑戦」をキーワードに、研究所長から若手研究員に至るまで、勤務時間の30%を新しいことへの挑戦に充てる。この中で今回、リバネス研究費を通じて社外の知恵を積極的に取り入れ、共創による新テーマの設定を目指す。中央研究所所長の岩間氏は「若手研究者の革新的な発想と、我々の経験を融合させ、食の未来を共に創造したい」と意欲を燃やす。

中央研究所が目指す“たんぱく質の変革”

日本ハムの事業の柱の一つである「畜産」は、その長い歴史の中で効率化され、システムとして完成されているが、時代が移り変わる中で、新たな課題も散見されるようになってきた。例えば、飼料では、気候変動による飼料作物の収量変化、グローバルな経済バランスによる調達価格の高騰といった需給環境の変化があり、また、牛のメタンガスを削減する飼料など、単なる栄養的価値にとどまらない機能も求められ始めている。飼養現場においては、将来に渡り、担い手の不足が懸念され、同社では、AIを活用した豚飼養管理システムの開発にも挑戦してきた。「そういった変化に対して、先手を打って対応していくことが、私たち中央研究所の役割だと思っています」と岩間氏は言う。さらに、微生物や細胞培養による新しいたんぱく質生産技術の研究開発に着手するなど、たんぱく質供給に関する同社の視野は広く柔軟だ。同社研究所と連携することで、アカデミアでの研究シーズから、たんぱく質産業の変革に繋がる大きな動きが作れるかもしれない。

共創で拓く、たんぱく質の未来

今回のリバネス研究費では、「食の未来を、もっと自由に。〜あたらしい食のカタチを創造する研究〜」をテーマとして、幅広い研究提案を募集する。家畜や食品の「生産」プロセスの課題解決、健康や美味しさなど「食べる」シーンでの新たな価値創造、検査・分析など「届ける」プロセスの改善など、連携したい研究領域は多岐にわたる。すべての人が、生きていくために必ず口にしているたんぱく質を、これからも当たり前に供給し続ける。この、日本ハムが社会に向けて提供する価値を変えないために、事業や研究・開発プロセスにある慣習や常識を壊していこう。そんな意気込みで、自社のこれまでのあり方に固執せず、新しい考え方や知識を持つ研究者との共創を進めていこうとしている。(文・尹 晃哲)

食の未来を、もっと自由に。~あたらしい食のカタチを創造する研究~

【食糧生産】:微生物食品、細胞性食品、精密発酵、ゲノム編集、【家畜生産】:飼料生産、家畜管理(AI活用)、疾病対策、糞尿処理、GHG削減、家畜副産物の利活用、【健康】:(オーラル)フレイル対策、健康チェックデバイス、動物実験代替、【調理・おいしさ】:3Dフードプリンター、自動調理、熟成肉、【検査技術】:食品安全に寄与する分析技術、抗体活用技術

設置企業・組織 日本ハム株式会社
設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円

スケジュール 応募締切:2024年11月1日(金)18:00まで
審査結果:2025年1月ごろにご連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
私たちは「あたらしい食のカタチ」を共に創るため、食やたんぱく質に関する革新的な研究テーマを募集しています。リバネス研究費日本ハム賞を通して、自由な発想と熱意を持つ研究者の皆様と出会えるのが今からとても楽しみです。私たちと共に“あたりまえ”に挑み、研究の力でもっとおいしい未来を創りましょう!皆様のアイデアが、次世代の食の可能性を広げる新たな一歩となることを期待しています。
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