リバネス研究費

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2022年6月公募第57回リバネス研究費

第57回リバネス研究費 吉野家賞

「はたらく」を楽にするあらゆる研究

ロボティクス、データサイエンス、情報通信、XR、コミュニケーション、薬学、 医学、材料工学、電子工学、人間行動学、心理学、経済学、建築学、デザイン、 ものづくり、など分野を問わず幅広い科学・技術分野の研究を募集します。

【 関連:第61回 𠮷野家賞 応募締切:2023年8月31日(木)18:00まで 】

設置企業・組織 株式会社吉野家
設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円 +店舗等を研究・実証試験フィールドとして提供

スケジュール 応募締切:2022年8月31日(水)18:00まで
審査結果:2023年1月ごろにご連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
𠮷野家では、従業員の負荷になっている作業をテクノロジー活用で削減し、「ひと」本来の価値が発揮される時間の最大化を目指しています。これまで、現場の課題を熟知した𠮷野家の研究員と、技術を持った研究者や企業が連携し、課題解決に取り組んできました。 例えば、AI と行動心理学を活用した「シフト調整システム 」や、協働ロボットを活用した「自動食器洗浄ライン」を開発し、従業員の負荷軽減を実現しています。 山積する未解決の課題こそ、研究者の方々と知恵を出し合いながら、アイデア発想と実証に取り組むべきと考えます。自由な発想で、従業員の負荷を軽減する研究テーマを募集します。 また、研究費助成だけでなく、店舗等を活用した研究・実証も全面的にご協力いたします。
設置企業インタビュー記事
株式会社吉野家
未来創造研究所 未来施設・設計担当
八重樫 路孝 氏

働くひとが心地よい飲食業を研究者と探究する

多様な分野でロボットやAIなどが活用されるなか、吉野家では外部の知見を取り入れながら、「テクノロジー」の店舗導入を積極的に行ってきた。「ひと」への負荷をテクノロジーで代替し、働く「ひと」だからこそ生み出せる価値を最大化させることが目的だ。吉野家が研究者と目指す10年先の未来について話を聞いた。

「ひと」とテクノロジーのちょうどいい関係で価値を最大化する

吉野家は、1899年の創業以来出店を続け、世界26エリアに約2800店鋪を展開、年間来客数3.1億人、1万4千人以上の雇用を生み出す世界を代表する企業に成長した。「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードに、「新しいビジネスモデル」の創造、「飲食業の再定義」に向けて、新たな価値創造を進めている。中でも、未来の飲食業のあり方を考え続け、新たなテクノロジーを店舗に導入することで「ひと」が介在することで生まれる価値の最大化を図る部署が未来創造研究所だ。「飲食業は感覚的に判断していることも多く、まだまだテクノロジーを活用して効率化できる余地は多い。これから更に活用を推進して、ひとの負荷を軽減し、生まれた余力でお客様へのサービスを充実させたい」と同研究所の八重樫氏は話す。誰もが心地よく、楽しく働ける職場環境を目指しテクノロジーを活用した店舗づくりを進めている。今年で8回目となるリバネス研究費吉野家賞では、研究者が持つ独自の視点と研究シーズが活かされる共創によって、飲食業の再定義に挑戦していく。現場で実証しながら本気で課題解決へと挑戦したい研究者からの応募に期待している。

現場のプロと研究者の熱を織りなし課題に挑む

これまで未来創造研究所では、現場の課題を熟知した吉野家の研究員と、研究者や企業が連携し、課題解決に取り組んできた。設立以来、すでに多数の研究成果の店舗実装が実現している。例えば、シフトを自動で作成する「勤務スケジュール作成支援ソフト」では、AIと行動心理学の研究者と共に課題解決に挑んだ。勤務表上の欠員シフトへの候補者をリコメンドするのみでなく、行動心理学の視点からアドバイスを受けることで、店長と従業員双方が快適にやりとりでき、調整時間の短縮に貢献している。また、手入力していたメニューの注文操作を音声に置き換えて行う「音声認識レジシステム」や、協働ロボットを活用した「自動食器洗浄ライン」の店舗検証を一部店舗で導入し、洗浄負荷の軽減などを実現している。現場を熟知した吉野家の視点と、研究者の研究への熱意が掛け合わさったことで、当初は困難だったことも実現可能にしてきた。

働く人々が心地よく活躍できる場づくり

「うまい、やすい、はやい」に「心地よい」を加え、顧客満足の実現を目指す吉野家。お客様の満足を追求するためには、働く人も心地よい環境、心理であることが重要だ。食の安全、従業員のシフト管理、業務効率の改善等、様々な課題と日々向き合う飲食業界において、テクノロジーによる課題解決とそれによる従業員の負荷軽減が欠かせない。それによって生まれた余白があることで、お客様との関わりが増え、新たなコミュニケーション手法ができる、調理にかける時間を増やしてより美味しい料理を提供するなど、お客様の心地良さへと繋がっていくのだ。2021年の吉野家賞の採択者とは、次世代型の高感度ニオイセンサーを活用することで、これまで人が気付かなかった新たな判断軸を現場に導入し、業務改善を目指す。働く人の負荷をテクノロジーで代替し、働く人の輝きを向上させることが目標だ。「『ひと』を活かすための様々な価値創出を実現するために、飲食業界の人にはない視点で、10年後の飲食業界を共に創造する研究者からの応募を待っている。基礎研究段階や着想段階のものには研究費を、店舗実装可能と判断した場合は投資も検討していきたいと考えています」。飲食業界で働くすべての人が、心地よく働ける社会に向けて飲食業の再定義を、研究者と共に創造していく。

(文・内山 啓文)

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