リバネス研究費

2024年9月公募第66回リバネス研究費

第66回 ダイキン賞

現在募集中です。応募締切:2024年10月31日(木)18:00まで

機械設計や電気設計を通じて、環境にやさしい未来を創るあらゆる研究

環境負荷低減、エネルギー効率向上に資する機械・電気設計の研究を幅広く募集します。圧縮機機構、軸受の潤滑性、モータ駆動システム、電力変換器の効率や放熱、再エネ利用など。また、機械・電気設計に新しい価値を付与できる異分野の研究(AI、教育、システム等)も含みます。

設置企業・組織 ダイキン工業株式会社 テクノロジー・イノベーションセンター
設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円

スケジュール 応募締切:2024年10月31日(木)18:00まで
審査結果:2025年1月ごろにご連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
ダイキンは空調機器をはじめとする快適な空気の提供に取り組んでいます。今後グローバルで空調機器の需要が伸びていく中で、いかに省エネで環境負荷の低い空調機を開発していくか、いかに新興国にも快適な空間を届けながらカーボンニュートラルを実現するかが重要になってきます。ご自身の研究を通じて、この社会課題に共に挑戦したいという想いを持つ皆様からの、わくわくする提案をお待ちしています。
設置企業インタビュー記事
(写真向かって左から)
テクノロジー・イノベーションセンター テクノロジー・イノベーション戦略室 技術戦略担当部長 小林 直人 氏
テクノロジー・イノベーションセンター インバータ技術グループ 主任技師 中山 智子 氏
テクノロジー・イノベーションセンター 圧縮機技術グループ 武田 仁 氏
テクノロジー・イノベーションセンター インバータ技術グループ 島津 由樹 氏
テクノロジー・イノベーションセンター インバータ技術グループ 主席技師 外山 浩昭 氏

自ら技術革新を繰り返し、地球環境に貢献する

国際エネルギー機関(IEA)によると、2050年までにエアコンの需要が3倍に増加することが予測される。2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、二酸化炭素排出量の削減を目指している中、広がる需要に対して、いかに環境負荷の低いエアコンを開発し普及させていくか。ダイキンではこのグローバルな課題に対して、地球環境に貢献する技術開発を日々推進している。

事業発展と地球環境への貢献を両立する

ダイキンは、1924年に大阪でわずか15名の町工場から始まった。飛行機用のラジエーターチューブ製造から事業をスタートさせ、その後、新規事業として冷凍機開発、冷媒ガスの技術開発に着手。これらの技術を礎に、1934年に日本で初めての冷凍機を製造。1951年には誰でもボタンひとつで操作可能なパッケージ型エアコンを開発。その後、空調事業のグローバル展開を進め、2023年度の全社売上高は過去最高の4兆円を越え、空調事業グローバルNo.1の地位を築いた。この歴史が物語るように、自ら技術革新を繰り返し、進化をし続ける企業がダイキンだ。技術革新の中核となるテクノロジー・イノベーションセンターでは、これまでの技術資産を引き継ぎながら、エアコンの更なる省エネ化・脱炭素化に向けた動きが加速している。2024年4月には東京の新木場に新しいラボを設立し、大学の研究者等と連携しながら、圧縮機やインバータの更なる技術開発だけでなく、インバータ用途の半導体の自社開発へも踏み出した。

常識に囚われない発想力と行動力

エアコンのコア技術である圧縮機は、室外機に組み込まれ、エアコンの血液ともいえる「冷媒」を循環させる心臓の役割を果たしており、エアコン全体の消費電力の80〜90%を占める。つまり、圧縮機の効率を少しでも高めることができれば、グローバルで捉えた時に大きな省エネに貢献できる。スクロール圧縮機は、2つの渦巻きがかみ合い、自転せずに旋回運動をすることで、冷媒を圧縮させる構造になる。数ミクロンの形状の違いで性能が大きく変わり、冷媒の種類によって最適な設計も異なる。今後、環境負荷の低い冷媒が続々と出てくる中、多品種に対応できる圧縮機設計が求められる。「機械設計に加え、熱マネジメントや冷媒ガスや潤滑油の流体現象などの様々な知識が必要になります。私も実機を用いながら200回以上の検証を進めてきました」と語る武田氏。その経験を活かして、現在はシミュレーション等のデジタル技術を導入することで、より効率的な圧縮機開発にも着手している。また、ダイキンはこれまでに圧縮機に加えモーター、インバータなどの要素技術を独自に開発してきた。特に、圧縮機のモーターを的確にコントロールし、省エネに貢献するインバータ技術において、インバータ制御回路に不可欠だった電解コンデンサを不要にする技術開発を行った。業界の当たり前を覆し、低コスト化を実現し、インバータエアコンが浸透していないアフリカやインドへの更なる展開を通じてグローバルな脱炭素化を目指している。さらに、ダイキンは2023年からインバータ回路に使う半導体までも自社で開発することに踏み切った。「空調メーカーが半導体をつくることができるのか?と最初は半信半疑でした。しかし、まだ誰もやっていないことをゼロから立ち上げることがチャレンジングで面白いと純粋に感じました」と中山氏は語る。具体的には、空調機の頭脳にあたるマイコンの開発を進め、環境に優しい次世代の空調を実現していく。

自ら手を動かし試行錯誤できる仲間を求める

今回の研究費では、機械設計や電気設計を通じて、環境にやさしい未来を創るあらゆる研究を募集する。圧縮機、半導体・インバータに関わるテーマから、その周辺領域も含めた様々な提案を期待している。例えば、圧縮機の仕組みは、エンジンと類似しており、エンジン等の他の機械設計の専門性を活かすことができる。また、シミュレーションやAIによる流体現象・高圧容器の内部可視化等は、圧縮機の設計を効率的に進めていく上で重要である。インバータや半導体の電気設計においては、セキュリティ分野等のアルゴリズムの応用、センシングを活用したシステムも考えられる。また、空調とは別分野の宇宙、農業等のロボット制御技術も活かすことができるだろう。「年齢層は幅広く、年齢・役職を超えたフラットな関係です。前向きな失敗を咎めず、一人ひとりのチャレンジを後押ししてくれる文化があります」と島津氏は語る。自ら手を動かし、世界の地球環境をより良くする研究を共に進めていく仲間を待っている。(文・中島 翔太)

現在募集中のリバネス研究費