リバネス研究費

2024年6月公募第65回リバネス研究費

第65回 吉野家賞

現在募集中です。応募締切:2024年8月30日(金)18:00まで

テクノロジーを活用した、サステナブルな食体験の提供につながるあらゆる研究

ロボティクス、データサイエンス、情報通信、XR、コミュニケーション、食品、薬学、 医学、材料工学、電子工学、人間行動学、心理学、経済学、建築学、デザイン、 ものづくり、など分野を問わず幅広い科学・技術分野の研究を募集します。
(異分野の方でも理解しやすい内容になるような創意工夫をお願い致します。 例)図や表を充実させる。専門用語の多用を控える等。)

設置企業・組織 株式会社吉野家
設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円+店舗等を研究・実証試験フィールドとして提供

スケジュール 応募締切:2024年8月30日(金)18:00まで
審査結果:2025年1月ごろにご連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
吉野家では、サステナブルな食体験につながる科学・技術を募集します。創業以来、「ひと」を中心に据えて事業を展開してきましたが、今回のリバネス研究費では、「サステナブル」をキーワードに掲げることで、「ひと」に加えて環境と社会にも配慮した新たな食体験の創造を目指します。研究段階や実現可能性は問わず、これまでの固定観念に捉われない自由な発想を歓迎します。研究者の皆さんと共に未来の食体験のあり方を追究できることを心待ちにしています。
設置企業インタビュー記事
株式会社吉野家
未来創造研究所 課長
佐藤 明宏 氏

吉野家と研究者との共創で、サステナブルな食体験のあり方を追究する

今年で10回目となるリバネス研究費吉野家賞。これまで経営理念「For the People」を掲げ、「ひと」の価値の最大化や課題解決につながるようなテーマを募集してきた吉野家だが、今回、その枠を拡張させ、「ひと」が関わる環境や生活も含むサステナブルな食体験のあり方を追究するテーマ募集に至った。その背景を中心に話を伺った。

「ひと」を中心に「テクノロジー」を活用して飲食業を再定義する

創業から120年以上、日常食のインフラとして人々の生活を支え続けてきた吉野家。中長期的な目線で飲食業の未来を創ることを目的とし、2011年3月に「未来創造研究所」を開設し、長期経営ビジョン「ひと・健康・テクノロジー」をキーワードとした様々な挑戦を加速させてきた。例えば、自動化やAIなどのテクノロジーを店舗に導入することで、吉野家の重要なステークホルダーである「ひと」、
つまり顧客や従業員の価値の最大化を目指している。これまで、調理や接客に集中できる店舗環境の実現や、シフト管理の最適化などを研究者や技術者と共に進めてきた。
「従来、飲食業はテクノロジーがあまり入ってこなかった分野。私自身も、店長やエリアマネジャーを長年経験しており、テクノロジー領域には馴染みがありませんでした。しかし、研究者の力を借りることで、テクノロジーを通じて『ひと』の価値を最大化できることに気がつきました。ひいては長期ビジョンの『飲食業の再定義』につながるはずと信じて取り組んでいます」と語る佐藤氏。

「ひと」の枠を拡張させた食体験の追究を研究者とともに歩む

経営理念「For the People」を掲げる吉野家だが、今回のリバネス研究費では「ひと」に加えて、地球環境全体から食体験のあり方を追究する挑戦をするべく、初めて「サステナブル」をキーワードに掲げた。環境面での持続可能性だけでなく、雇用の創出・継続や地域活性化など社会的な側面での貢献も重要だと吉野家は考えている。例えば、2023年には吉野家店舗から距離のある郊外へ牛丼弁当を届けるドローン配送の実証実験を試みており、人口減少地域のインフラ維持に貢献する構想もある。さらに、店舗における食器洗浄工程をロボットにより自動化・省人化する開発に取り組み、従業員の軽労化を目指している。このように今回の募集テーマは、テクノロジーの店舗導入で「ひと」の食体験の価値向上のみならず、環境・社会・経済のより広い観点からの研究テーマを期待しているのが特徴だ。「『For the People』という経営理念は、お客様だけでなく、社会全体の持続可能性につながるものだと考えています。食を通じて地球環境にも貢献することこそが、私たちのミッションなのです。だからこそ、分野に囚われずにあらゆる研究者との対話を通じて、具体的な取り組みを共創していきたいと思います」。

研究者の熱意を後押しし、共に未来の食体験を創造する

未来創造研究所では、これまでのリバネス研究費の活用で12名の若手研究者を採択し、様々な議論や店舗での実証実験を行ってきた。例えば、2021年度に採択した今村氏とはニオイセンサーを活用した店舗の衛生環境改善や、2022年に採択した橋爪氏とは快適な店舗経験を実現するための最適なモバイルオーダーシステムの開発を目指し、店舗を使ったヒアリング調査など、研究者の専門性を飲食業の価値向上に役立ててきた。今回の募集では、研究者の自由な発想を最大限に引き出すことも狙いとしており、研究段階や実現可能性は問わず、幅広く研究テーマを募集する。
「私たちが目指しているのは、単なる研究成果の実装ではなく、研究者の皆さんと共に未来の食体験のあり方を議論し、創造していくことです。それが、最終的にサステナブルであることにつながると信じています。例えば、食材の無駄を削減する新たな調理法や、食を通じた地域コミュニティの活性化など、吉野家の店舗を活用して実証できるテーマであれば、ぜひ提案していただきたいです」と佐藤氏は語る。これまでの採択者の中には、吉野家の店舗で実証実験を重ねた後、ベンチャー企業を自ら立ち上げた研究者も存在する。「私たちは研究者の皆さんの挑戦を、研究段階から事業化まで長期的に応援していきたい」。吉野家と研究者それぞれが目指す未来を実現するべく、互いの強みを活かしながら歩んでいきませんか。(文・内田 早紀)

現在募集中のリバネス研究費