リバネス研究費

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2022年9月公募第58回リバネス研究費

第58回 プランテックス先端植物研究賞

植物の利用価値の最大化に貢献するあらゆる研究

植物の利用価値の向上につながるあらゆる研究を募集します。味の向上、機能成分強化、育種、生産性向上など、植物工場の用途拡大や価値の最大化につながる研究テーマを特に歓迎します。栽培の自動化や機械学習による予測など、栽培装置や試験手法の技術開発につながるような研究も対象とします。

設置企業・組織 株式会社プランテックス
設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円、Type XSの栽培試験環境を提供

スケジュール 応募締切:2022年10月31日(月)18:00まで
審査結果:2023年1月ごろにご連絡予定
募集対象 ・大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
プランテックスは環境制御性能を高めた独自の植物工場システムの普及を目指し事業展開しています。植物研究の成果を、工場規模での量産につなげる技術の開発に力を入れてきました。本研究費では、植物の利用価値を最大限に引き出すことを目指す先進的な研究テーマを幅広く募集します。研究成果が将来的に植物工場の用途拡大や価値向上を通じて、世界の食や農業を取り巻く様々な問題解決に寄与することを期待します。
設置企業インタビュー記事
株式会社プランテックス
企画室長、竹山 政仁氏
栽培研究室長、光宗 倫彦氏

異分野の研究領域との融合で植物に新たな利用価値を創造する

世界の食と農に新しい常識を作ることを目指す株式会社プランテックス。新たな植物工場のシステムを開発し、アカデミアの研究者が蓄積してきた知見を融合しながら、研究と事業化を両立してきた。2022年度に入り新たな研究所や量産工場を展開するプランテックスにとって、今回の研究費は新たな意味を持つ。植物科学はもちろん様々な領域の研究者と植物の可能性を広げていきたいという想いだ。

独自の栽培システムを活かした植物研究と量産装置

2014年に工学系の技術者らが立ち上げ、新しいスタイルの量産型植物工場の実現を目指してきた株式会社プランテックス。独自の「クローズド・タイプ」の植物栽培装置に設置された多数のセンサーから得られた光や気温などの値を、独自開発した植物成長制御システム「SAIBAIX」に取り込み、植物の成長速度等の指標を管理している。栽培条件を精密に制御することで、一般的な完全人工光型植物工場に比べて生産性が約5倍という極めて高い結果を導出した。このような、光、空気、水の精密制御は、生産性の向上のみでなく、省資源化、環境負荷の低減等にも貢献している。現在、開発に成功しているのは、最適な栽培条件を探索するための研究用の小型装置 (Type XS) と量産を目的とした大型の装置 (Type M) だ。Type XSで導出した栽培条件をType Mにインストールすることで、研究成果をすぐに量産に応用することができるのだ。2022年6月には、首都圏においてマルエツ、カスミやマックスバリュ関東を展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスと共に茨城県土浦市で量産工場を開始し、すでに22店舗程で取り扱いが始まっているが、そこにもType XSの研究成果が反映されている。

外部連携により様々な領域での植物研究を推進する

創業当時から研究開発に力を注いできている。例えば、 玉川大学との共同研究では、環境条件を調整することで、ニチニチソウという植物から抽出される抗がん剤成分“ビンブラスチン”を通常の500倍に高めるという同大研究成果が再現できた。プランテックスの強みである環境制御によって、特定の成分を大量に合成、そして再現性も実現できるようになった研究だ。
また、同社が設置した過去のリバネス研究費でも、共同研究のタネが生まれている。2021年の研究費では、東京大学大学院の永田賢司氏のCO2濃度に応じて植物が気孔密度の調節を行う機構の研究が採択された。すぐに産業応用に繋がらない基礎的な研究ではあるが、収量の増加に繋がる可能性のある研究だ。また、2020年には、関西学院大学の嶋川銀河氏による葉の老化に伴う光合成活性低下のメカニズム解明を目指す研究と、筑波大学の野崎翔平氏による植物一過的発現系“つくばシステム”と転写制御を利用した植物ホルモン生産法確立、というテーマが採択されている。 両者ともに、自社のみで行うには困難な研究であり、植物の可能性を広げるために、このような研究との連携に積極的だ。また、2022年には新たな研究所の稼働も始まっており、急速に研究設備も増強している。これにより「様々な研究テーマを外部研究者と一緒に取り組める体制が整った」と竹山氏は話す。

新たな視点を持って植物の価値を高める

現在、注目している研究テーマの一つが、植物の価値を高める研究だ。例えば、植物の味を向上させるためには、植物生理学や遺伝学の知見だけでなく、保存方法、味覚や香り等のセンシング技術、調理のしやすさなどの視点も必要となる。また、環境条件である光、気温、水、養液の成分といった因子が、最終的な植物の重量、味、機能成分などにどのように関わるかを知りたいと考えている。新たな価値の指標となるデータ取得のためのセンシングや情報解析の技術といった、機械工学や情報科学の研究との組み合わせも必要になってくるという。「社内だけではできないことがどうしてもある。植物の価値を高めるために知りたいことが沢山あるので、そういう研究者と繋がりたい」と光宗氏は話す。今回の研究費では、今まで以上に多様な分野から研究を発掘したいと考えているという。「分野にとらわれず、自信を持って応募してほしい」と話す竹山氏からは、多くの研究を知り、プランテックス社の植物研究とどう組み合わせられるかを考えようという意気込みが見られる。プランテックス社独自の技術が、外部の研究と組み合わさることで、新たな植物の価値を生み出すきっかけに本研究費がなることを願う。
(文・八木佐一郎)

Culture Machine type M

出典:green growers WEB ページより抜粋
(https://mygreengrowers.com/terrabase/)

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