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2020年6月公募第49回リバネス研究費

第49回リバネス研究費 ダスキン開発研究所賞 募集テーマはこちら

東京農工大学 工学研究院 先端情報科学部門 准教授

中山 悠さん

採択テーマ
持続的な生活環境維持に向けた清掃活動のセンシング&モニタリング

清掃行動モニタリングで清潔な環境づくりに貢献

ネットワークシステム分野を専門とし、これまで企業での研究開発経験もある中山氏。本賞で採択されたのは、IoT技術により清掃行動をモニタリングし、清掃の頻度や強度を推定して快適な住環境の維持に貢献する研究だ。

社会実装の視点をもってアカデミアへ

学生時代には環境測定データを用いたデータマイニングに取り組み、卒業後は通信系の大手民間企業へ就職した中山氏。「 経済的に成立しつつ、かつ実際に人々の生活の役に立つ研究がしたい」と考え、企業では次世代ネットワークの研究開発に取り組んだ。システムやハードウェアが実際に導入された後、長く運用される中でどのような社会的・技術的課題が出てくるのかなど、様々な観点を想定して研究する視点が養われたという。そして、2018年からはより自由に挑戦できる場を求めてアカデミアの世界に戻った。これまでの経験を活かし、5G 通信やセキュリティ、環境モニタリング、防災などの様々な目的に応じて、ユニークで最適なネットワークシステムを提案するのが、中山氏の研究者としての強みだ。

清掃行動をIoT技術でモニタリング

今回の申請テーマで中山氏が着目したのが、お掃除行動のモニタリングだ。新型コロナウイルスで注目される感染症対策や、アレルギー対策の観点からも、清掃によって清潔な住環境を維持したいという要望は高まっている。一方で、自分が適切に清掃できているか、客観的に評価するのは難しい。そこで中山氏は、IoT技術により清掃の頻度や強度を推定してモニタリングできれば、客観的なデータに基づいて清掃行動を評価できると考えた。現在はIoTセンサ類の小型化が進んでおり、モップ等の清掃用具に取り付けて使用ログを取得するのも容易だ。「センサデータからの活動推定、キレイさの評価、データを安全に使うメカニズムといった技術を組み合わせ、より実用的なシステムを目指しています」と語る。

企業のもつ知見と掛け合わせる

採択決定後、ダスキン社はさっそく、センサを取り付けるスペースを設けた自社モップを中山氏に提供するなど、連携がスタートしている。「例えば清掃の上手い・下手で動きにどんな違いがあるのかなど、データをもとに検証したいことは沢山あります。清掃現場の知識と経験をもつダスキン社との議論が、きっと研究を後押ししてくれるはず」と中山氏は熱を込めた。両者がタッグを組んだ研究から、新たな生活様式を支える技術が生まれることを期待したい。

(文・仲栄真 礁 )

担当研究員からひとこと

株式会社ダスキン 開発研究所応用研究室 馬場史氏
現在行っているユーザー向けアンケートでは清掃行動に関して得られる情報は限られています。様々な清掃行動データを収集できれば、将来的には、ユーザーや清掃状況に応じたコンサルティングや、新製品開発にも活用できるのではないかと考えています。