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  • 第42回リバネス研究費 超異分野 時間・空間・五感賞 採択者 山崎 大暉さん

2018年9月公募第42回リバネス研究費

第42回リバネス研究費 超異分野 時間・空間・五感賞 募集テーマはこちら

京都大学大学院 文学研究科 行動文化学専攻 心理学専修 蘆田研究室 博士後期課程2年

山崎 大暉さん

採択テーマ
三次元的物体の知覚を実現する視聴覚距離情報統合の神経基盤の解明

山崎氏の研究テーマは、五感情報を用いた時間・空間の知覚だ。人がどのように知覚しているのか、その神経機構を明らかにしたいと考えている。人の脳は、見かけの大きさと距離の情報を組み合わせて物体の実際の大きさを推定しているとされ、視覚野V4が物体の大きさの計算に関わると考えられている。しかし最近、山崎氏らの研究では、物体の大きさ知覚が視覚のみでなく、聴覚情報の影響を受けることが分かってきたという。例えば、自分に向かってボールが飛んでくる時、見かけの大きさだけでなく、ボールが飛んでくる“音”によっても自分とボール間の距離を推定している可能性があるのだ。ただ、耳と目という異なる感覚器官で得た情報を脳でどのように統合しているのかについては、まだ研究が進んでいない領域だという。

そこで山崎氏は、fMRIを用いて人の脳で視聴覚統合に関わる部位を明らかにしたいと考えている。聴覚距離情報をどのように視覚情報と統合し、三次元的物体の知覚を行なっているのか、その脳内メカニズムを解明できれば、脳の特性に基づく技術開発にも役立つのではないか、と山崎氏は期待している。「この研究は、実験心理学や神経科学の分野において、五感情報の統合に関する新たな知見を提示できる可能性があります。さらには、運転補助や危険感知技術など、人の知覚に基づいた工学的な応用ができるのではないか」と社会への実装にも意欲的だ。私たちの五感がどのように時間や空間の知覚と結びついているのか、山崎氏の研究から新たな視点が見えてくるかもしれない。