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  • 第38回リバネス研究費 カイオム賞 採択者 稲野 将二郎さん

2017年9月公募第38回リバネス研究費

第38回リバネス研究費 カイオム賞 募集テーマはこちら

関西電力医学研究所 臨床腫瘍研究部門

稲野 将二郎さん

採択テーマ
nanobodyを発現するエクソソームによる、転写因子を標的にしたがん治療の開発

がんを標的とした医薬には大きく低分子化合物と抗体医薬がある。特に抗体医薬は標的特異性が高いといわれており、がん細胞特異的に発現している細胞表面のタンパク質を標的として、多くの医薬品が開発されている。一方で抗体医薬の弱点は、細胞の中に入り込んで原因となるタンパク質を直接標的にできないことだ。そこで稲野氏は、通常の抗体と比べてサイズが大幅に小さく、かつ高い特異性と安定性を持つNanobody(VHH抗体)に注目した。Nanobodyをエクソソームの膜タンパクと融合し、細胞内へ輸送させることにより、がんの原因となる各種転写因子を標的としたがん治療の基礎技術を確立することを目指している。現在は融合タンパク質がエクソソームの内部に格納されることを確認するため、GFP融合膜タンパク質を利用した予備実験を行っているところだ。稲野氏は今後、分子標的治療が比較的発達しており、知見が蓄積している血液がんの領域でこの技術を検証していく予定だ。一方で、固形がんではいまだに細胞障害性抗がん剤が中心で、まだまだ革新的な治療手段が必要とされている。将来的にはこういった固形がんも含めた様々な癌種への効果的な治療に貢献できるような治療手段の基盤となる技術をつくりたいと思っている。