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2007.04.02 リバネス研究費:採択者発表

第2回リバネス研究費 キャリパーライフサイエンス賞 採択者発表

■ 受賞者
寺脇 慎一
■ 所属 職位
兵庫県立大学 特任助教
■ テーマ
微小管依存的な物質輸送を制御するBICDのLabChipGXを活用した構造生物学研究

■ 採択者の声
私は、これまで一貫して、X線結晶解析法を利用したタンパク質の立体構造解析によるヒトなどの高等動物の細胞増殖や運動性を制御する分子機構の解明に取り組んできました。今回、採択していただきました研究課題では、キャリパーライフサイエンス社のLabChip GXを利用することで、結晶化にもちいるタンパク質のドメイン領域を同定して、X線結晶解析を行い、微小管に依存した物質輸送の分子機構を原子レベルで解明したいと思っています。X線結晶解析を成功させるためには、第一に、研究対象とするタンパク質の精製と結晶化をおこなう必要があります。しかし、生物学的に重要かつ創薬の標的となるようなタンパク質は、その調製自体が困難で、結晶化をおこなうことができない場合が多々あります。今回、構造解析の対象とするBi caudal- D (BICD)は、分子モーターであるダイニンと相互作用することによって、小胞膜などの微小管依存的な輸送を制御する因子ですが、精製過程で不溶化する問題を抱えていました。また、分子内にも既知の機能ドメインが存在していないことから、結晶化に適したドメイン領域を予測することも困難でした。そこで、本研究では、多検体を短時間に分析する能力に優れたLabChip GXを利用することで、①タンパク質分解酵素を利用した限定分解、②DNAライブラリーの作成、③組換えタンパク質の発現解析をおこない、可溶性の機能ドメイン領域を同定したいと考えています。これらの分析をおこなうことで、これまでは結晶化を断念していた試料調製が難しい難結晶性タンパク質に対する新しいアプローチを提案できると考えています。したがって、本研究の成果は、構造生物学という研究領域にLabChip GXの活用法を示した良い例となると確信しています。最後に、このような本研究の機会を与えたくださった株式会社リバネスとキャリパーライフサイエンス社にお礼を申し上げたいと思います。

■ 実績
Terawaki, S., Yano, K., Katsutani, T., Shiomi, K., Keino-Masu, K., Masu, M., Shomura, Y., Komori, H., Shibata, N. & Higuchi, Y. Crystallographic characterization of the DIX domain of the Wnt signaling positive regulator, Ccd1. Acta Crystallogr. F Struct. Biol. Cryst. Commun. 2011, 67, 758-761

○寺脇慎一、塩見健輔、桝正幸、柴田直樹、樋口芳樹

Wntシグナル伝達機構ではたらくCCD1の構造化学的研究

平成22年日本蛋白質科学会年会 6月 札幌 ポスター発表 2P-062

○寺脇慎一、塩見健輔、桝正幸、柴田直樹、樋口芳樹

Wntシグナル伝達で機能するCCD1 DIXドメインのX線結晶構造解析

平成22年日本分子生物学学会年会 12月 神戸 ポスター発表 1P-0126

○寺脇慎一、塩見健輔、桝正幸、柴田直樹、樋口芳樹

Wntシグナル伝達で機能するCCD1のオリゴマー形成機構に関す る構造学的研究
平成22年日本結晶学会年会 12月 大阪 口頭発表 OC-I-02