第13回リバネス研究費 Direct Detect賞 採択者発表
第13回リバネス研究費Direct Detect賞の採択者が決定いたしました。
採択者および研究課題名は以下のとおりでございます。
■ 受賞者
新井 亮一(あらい りょういち)
■ テーマ
限定アミノ酸セットによる原始的人工ヘム蛋白質の創製及び分子進化工学
■ 所属
信州大学 繊維学部 応用生物科学系 生物資源・環境科学課程
■ 採択者コメント
1. 応募のきっかけ
日頃から研究費獲得を目指して、リバネス研究費の募集要項は定期的にチェックしていましたが、以前は自分の研究テーマにぴったりというものは少なく応募には至りませんでした。しかし、このDirect Detect賞の募集要項を見た瞬間、まさに「これだ!」と思いました。限定アミノ酸セットによる原始的タンパク質はアミノ酸組成が通常のタンパク質とあまりに異なるため、色素やUV吸収を利用する従来のタンパク質定量法がうまく適用できず、ちょうど困っていたところだったので、赤外分光法によりアミド結合を測定するというDirect Detectは、まさに救世主のような画期的測定装置と思い、応募を決意しました。
2. 自分の研究テーマの熱いところ
通常は20種類のアミノ酸で構成されるタンパク質を、たった5種類のアミノ酸のみでデザイン・創製することに挑戦する研究は、言わば、太古の時代にありえたであろう原始的なタンパク質をこの世に再現する試みにつながる夢とロマンがある研究だと思います。そこから、生命機能の根本を担うタンパク質の起源に迫る研究、さらには、生命の起源にも迫っていくような先端的な研究を展開していくことにより、世界中に強烈なインパクトを与えうる熱い研究テーマであると思っています。
3. 目指す成果
限定アミノ酸セットにより構成成分を極力単純化して、機能性新規人工タンパク質のデザイン・創製及び分子進化を行う合成生物学研究を展開することにより、タンパク質の構造構築・機能発現の本質的理解を目指したいと考えています。望みの機能をもつ有用な人工タンパク質を自在にデザイン・開発できるようになることがタンパク質工学分野の究極的な研究目標であり、将来、新規な人工酵素やタンパク質医薬等の設計・開発・応用を目指していきたいと思います。
4. メッセージ
実は、本研究テーマで、過去に2回科研費に応募しましたが、2回連続で不採択でした。これは、ちょっと奇抜で突拍子もないテーマであり、関連する実績も足りなかったからのように思います。それにもめげずに学生と共に地道に予備実験を積み重ねてきた甲斐があり、今回リバネス研究費Direct Detect賞の受賞に至り非常にうれしく思います。やはり、「分野も実績も問わず、自分の研究に熱い思い入れを持っていること」が採択基準であるリバネス研究費だからこそ採択されたものと思われます。ぜひ、みなさんも、科研費に採択されにくいようなテーマであっても、熱い思いを持ってリバネス研究費に応募することをお勧めいたします。