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第54回リバネス研究費 東洋紡 高分子科学賞

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東洋紡株式会社
東洋紡株式会社

設置テーマ・対象分野

高分子材料の基礎的、汎用的な研究

高分子材料に関する幅広い“科学”研究を募集します。キーワードとして、有機合成、重合反応、有機・無機化学、材料工学、熱力学、相平衡、組織形成、電気化学、表面・界面化学などが挙げられますが、これに限りません。幅広く、高分子材料に関する基礎的または汎用的な研究を対象としています。

設置企業

設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円

スケジュール

応募締切:2021年10月31日(日)18時まで
審査結果:2022年1月ごろ、ご連絡予定

募集対象
  • 大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
  • 海外に留学中の方でも申請可能
  • 研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能

担当者より一言

東洋紡グループは、当社が培ってきた高分子科学(ポリマーサイエンス)を、生活に豊かさをもたらす技術としてはそのままに、人と地球の未来を支える新しい分野の技術として一層磨いてまいります。そのためにも、高分子科学に関する幅広い分野から研究テーマを募集し、ご支援します。新しい材料や応用分野への展開を視野に入れたテーマのみならず、原点を見据えた基礎研究などを含めた“サイエンス”の提案を歓迎いたします。

設置企業インタビュー記事

東洋紡株式会社

(写真向かって左から)
参与イノベーション戦略部部長 飯塚憲央氏
コーポレート研究所員 林美唯妃氏
堅田フイルム技術センター室員 杉本由佳氏
参与フイルム・機能マテリアルフロンティア開発部部長 伊藤勝也氏

地道な材料研究を熱く進める人と、世界を変えていきたい

2012年創立130周年を機に、社名を『東洋紡績』から『東洋紡』へと変更した。”繊維”の印象が強いが、実は2002年には、売上の半分を非繊維の事業が担うようになっている。これは、繊維事業で培った”化学”の知見を応用し、プラスチックやフィルム、バイオ事業が大きな発展を遂げたからだ。フィルムの研究開発に従事してきた伊藤氏は「成果に繋がったのは、基礎的で幅広い”科学”の知見。一見地味にも思える基礎研究こそが、製品開発において重要な役割を果たす」と語る。

社会課題を契機に生まれたフィルム事業

1960年頃の日本では、学校給食などでもパンの普及が始まっていた。当時のパンは紙で包んでおり、湿気てしまうため保存性が低いという課題があった。そこで東洋紡は、培ってきた化学の知見を生かし、1963年に食品包装用のポリプロピレンフィルム『パイレン®』を開発。この防湿性が高い透明フィルムは、パンをはじめ、食品、繊維など現在に至るまで様々なもののパッケージに用いられている。

他にも、身近なPETボトルに使われている、加熱すると収縮するシュリンクフィルム『スペースクリーン®』や、LED光源を利用する液晶ディスプレイで虹ムラのない偏光子保護用フィルム『コスモシャインSRF®』で大きなシェアを占めるなど、実に様々なところで東洋紡のフィルム製品は活躍している。また、東洋紡は早くから環境配慮の製品開発にも注力してきた。そのひとつとして、伊藤氏が取組んできたのが、1993年に発売された再生PET合成紙『クリスパー®』だ。本来は透明なポリエステルの内部に空洞を含有させることで、白色・不透明にしているのが特長だ。紙の代替品として名刺や各種資料に、また、光沢があって写真などが映えるため、ゲームセンターなどに設置されているプリントシール機の多くにも採用されているという。

次の200年へ向けた未来の”材料”

2022年に140周年を迎える東洋紡は、次の150年、200年へ向けて新たな開発を進めている。そのひとつは、”代替材料”だ。紙やガラス、金属など、既存の平面的な材料に替わる、より優れた性質や機能を有する材料の開発を進めている。また、近年急速に身近になってきている分野のひとつ、”宇宙”にも目を向けている。宇宙空間には、持ち込める量が限られているため、小さく・薄くても機能を出せることが重要になる。例えば、宇宙保存食のパッケージや、宇宙の外に配置する太陽光電池のパネルなど、地球の1,000倍の放射線や、宇宙船内外の200°C以上の温度差などに耐える性能が必要とされる。さらには、今最も注力しているのが、”環境配慮型製品”だ。前述の再生PET合成紙『クリスパー®』に加え、例えば天然材料や回収プラスチックからつくる資源循環型の製品などが挙げられる。すでに東洋紡では、製品のライフサイクル(原材料~廃棄まで)を6つのステージに分け、各ステージにおける環境影響を”温暖化防止””省資源”などの5項目において評価して認定する『エコパートナーシステム®製品』がある。2030年度までに全売上高の30%を認定製品とする目標を立てていたが、なんと2019年度には30.4%となり、すでに目標を達成しているという。

基礎的で汎用的な”地味な研究”こそ、光を当てたい

研究開発の現場では、ほんの少しの性能を変化させるために、多様な科学的知見と試行錯誤が求められる。例えば、前述のシュリンクフィルムは、「ガラス転移点以上融点以下で延伸して分子配向を与え熱処理を制御する」という工程があり、合成における重合比率制御や、延伸による結晶性の付与、熱変性などの熱力学的知見が必要になる。

そして昨今ますます要求が高まっているのが”環境配慮”という観点だ。これを受け、東洋紡では、フィルムの機械強度を上げることによって飲料用PETボトルラベルの厚みを従来の45 μmから20 μmと半分以下にし、廃棄されるラベルの量を半減させた。さらに、従来ではリサイクルPET原料が40%以下でないと収縮性が発揮できなかったが、製膜条件による構造・収縮率の変化を利用し、リサイクルPET原料のみでも十分な機能を有するフィルムが得られることを発表するなど、地道な研究開発により大きな社会インパクトを実現している。

「現場で活きるのは、”科学”の原理原則をしっかり理解した人。それなら、東洋紡や他の材料メーカーとの連携でも活きるし、世界に貢献できる。比較的目立たず、外部資金も獲得しづらかったような地味な研究こそ光を当てたい」と熱く語る伊藤氏。これまで、「自分のテーマは基礎的で応用には遠いから」と考えていた研究者にこそ、このチャンスを活かしてほしい。(文・伊地知 聡)

※「食品容器包装の新しいニーズ、規制とその対応」(株式会社技術情報協会 2020年9月30日) 6章6節 東洋紡(株)春田 雅幸

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