抗体を通して医療のアンメットニーズに貢献する 株式会社カイオム・バイオサイエンス
抗体を通して医療のアンメットニーズに貢献する
抗体医薬は、特定の細胞や抗原を標的として治療することができる。標的に対する特異性が高く、副作用が少ないことなどから、がんをはじめとした、これまで治療が困難とされてきた難病治療に対して有用性が高いとされている。株式会社カイオム・バイオサイエンスは医療におけるアンメットニーズに対して、抗体治療を通した貢献を目指している。同社取締役の美女平氏、シーズ探索室長の中崎氏に今回リバネス研究費を仕掛けるに至った想いについて話を伺った。
抗体開発で培った知見
「良い抗体を取るためにまず必要なこと、それは良い抗原の取得です」。カイオム社といえば約10日間で抗体を取得できるADLib(AutonomouslyDiversifyingLibrary:自律多様化ライブラリ)システムが有名であるが、創業から12年、既に同社の強みはそれだけではなくなっている。「最も重要なことはADLib法を広めることではなく、世界中の患者に抗体医薬を届けることです。そう考えれば、抗原の取得から抗体の産生までのあらゆる過程で、最適な手法を選択することが必要になります」。長年の抗体医薬開発経験から、カイオム社は抗原の取得に関する豊富な経験と、独自のノウハウを蓄積している。たとえば動物細胞でも正常な構造での発現が困難なタンパク質など、従来は機能性抗体を得ることが困難だった抗原に対してもアプローチが可能だという。“良い抗体”を作りたいと望む研究者にとって、同社は得難いパートナーになるはずだ。
アカデミアと創薬のギャップを埋める
アカデミアと産業界の間には“ギャップ”がある。アカデミアで見出された知見から、抗体医薬として販売を開始するためには、候補となる抗体の獲得から動物でのバリデーション、臨床試験と幾つものフェーズを進めていく必要があるのだ。一般的に、開発の初期段階であるものほど、抗体医薬の上市に繋がる可能性は低くなるので、製薬企業は創薬シーズを導入することに対して消極的になる。カイオム社ではこのギャップを埋める事業を推進している。「アカデミアで見出された知見を、製薬企業が導入を検討することができるフェーズまで持っていくことがカイオムの役割です。抗原の作製から、良い抗体の獲得、その抗体を用いいて行う動物でのバリデーションといった、抗体医薬開発の初期段階を積極的にサポートします」。抗体医薬の世界に存在するギャップに果敢に挑む姿勢がうかがえる。
アンメットニーズに光を
「わたしたちのミッションは、抗体医薬開発に存在するギャップに挑むことで、アンメットニーズに光を当てることです」と話す中崎氏。今回のリバネス研究費カイオム・バイオサイエンス賞を通じて、難治疾患の治療につながるテーマに取り組む研究者の皆様とつながりを持ちたいと考えている。同じ思いを共有する研究者たちと手を取りあい、共同研究によって世界中の患者に貢献する。それがカイオム社が取り組んでいる創薬事業だ。申請にあたっては、なぜそのテーマが医療現場で必要とされているのか、どのようにして人々の健康に貢献をしたいのかといった視点を踏まえて欲しい。そうすることで、抗体医薬の開発を早い段階から積極的に行っている、未来のパートナーとの繋がりを獲得できるはずだ。(文・五十嵐圭介)
リバネス研究費申請お待ちしております
【2017年10月31日〆切】第38回リバネス研究費 カイオム賞