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第54回リバネス研究費 プランテックス先端植物研究賞

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株式会社プランテックス
株式会社プランテックス

設置テーマ・対象分野

植物科学分野に関するあらゆる研究

植物の新しい可能性を引き出すことを目指す先進的な研究テーマを幅広く募集します。育種、機能成分強化、生産性向上など、植物工場の用途拡大や価値向上に繋がる研究テーマを特に歓迎します。栽培装置や試験手法の技術開発に繋がるような研究も対象とします。

設置概要

採択件数:若干名
助成内容:研究費50万円

スケジュール

応募締切:2021年10月31日(日)18時まで
審査結果:2022年1月ごろ、ご連絡予定

募集対象
  • 大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
  • 海外に留学中の方でも申請可能
  • 研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能

担当者より一言

プランテックスは環境制御性能を高めた独自の植物工場システムの普及を目指し事業展開しています。植物研究の成果を、工場規模での量産に繋げる技術の開発に力を入れてきました。本研究費では、植物の新しい可能性を引き出すことを目指す先進的な研究テーマを幅広く募集します。研究成果が将来的に植物工場の用途拡大や価値向上を通じて、世界の食や農業を取り巻く様々な問題解決に寄与することを期待します。

設置企業インタビュー記事

株式会社プランテックス
開発した量産用植物栽培装置(TypeM)の前で

(写真向かって左から)
企画室長 竹山 政仁 氏
製造室長 谷口 宣利 氏

植物の新たな可能性を引き出し、食と農に新しい常識を創る

「世界の食と農に新しい常識を」を理念に掲げ、持続可能な社会と共に、誰もが健康で安心で質の高い食生活の実現を目指している株式会社プランテックス。エンジニアリングとサイエンスの力で植物の成長を制御できる環境制御性能を高めた独自の植物栽培装置を開発し、掲げる理念に向かって日々邁進している。

研究開発から量産までを繋ぐ植物栽培装置

プランテックスは、産業用工場の技術者らが立ち上げた企業だ。植物を制御する仕組みの数式化とエンジニアリングを駆使し、栽培空間を作業室から隔離した密閉方式の植物栽培装置を独自に開発した。このシステムにより、植物の成長に影響を与える要素である光、空気、水(養液)を精密に制御できるようになり、例えば植物工場の主要な栽培品目であるレタス栽培において一般的な植物工場に比べて約5倍の生産性を実現している。現在、装置は2つのタイプがある。ひとつは、栽培条件の研究開発を小回りよく行うための研究用装置(TypeXS)で、もうひとつは量産を目的とした大型の装置(TypeM)だ。通常、実験レベルで良い結果が得られても、量産工場でその通りに管理しようとしても環境が制御できず上手くいかないということはよくある。しかし、TypeMは、TypeXSで得られた生産性の高い栽培条件(栽培レシピ)通りに精密な管理が行えることから、連続生産しても生産重量の変動幅が非常に狭い安定的な生産が可能となることがわかってきている。

同社の製造室長である谷口氏は、栽培装置のソフト設計と立ち上げに関わっている。エンジニアリング分野を学んできた谷口氏にとって、植物は成長段階に応じて適切な環境パラメータが異なることや、ある環境を作り出したときに時間差で現れる形や重さ等の形質と環境パラメータとの因果関係を解き明かすことが難しく、また面白みでもあるという。「そのような要素を一つ一つ繋ぎ、それらの関係性を調べて導き出すことがエンジニアである自分の役目ではないか」と話す。日々、植物の栽培研究から得られたデータを紐解き、それらを栽培装置の開発へとフィードバックしている。

研究者と植物の可能性を引き出し続ける

TypeXSは、栽培レシピ開発以外に企業や大学等との共同研究でも活躍している。玉川大学と行った研究では、環境条件を調整することで、ニチニチソウという植物から抽出される抗がん剤成分“ビンブラスチン”の含有量を通常の500倍の濃度に高める成果を再現し、さらに高濃度化を狙った試験を行っている。本研究成果を社会実装するうえで、TypeXSでの成果がTypeMへ展開可能という点が大きな強みとなる。今回、同社は昨年に続き2回目の研究費を設置するが、そこには様々な研究者と植物の新しい可能性を引き出していきたいという熱い想いがある。「植物工場の用途の拡大や価値の向上により、世界の食や農業を取り巻く様々な問題解決に繋げていきたい」と竹山氏。植物は動けない。だからこそ周りの環境が非常に重要だ。環境を一定にすることは、植物の遺伝的な性質や生理的な機能を解明するうえでも有用である。今後、植物への物理的な刺激等の新規パラメータの導入や、3D画像解析等のより高度な測定・分析技術の開発により、TypeXSを中心とする栽培研究技術のさらなる改良を目指している。1回目の研究費採択者である関西学院大学の嶋川銀河氏は、近赤外分光法により、非破壊で生きたままの葉を簡便かつ迅速に測定できる方法を見つけた。この手法は、従来の老化指標よりも感度が高く、事前に老化の誘導を察知することができる。「野外における植物の環境適応に迫るこのような研究成果が、制御環境での栽培にも活かせる新たな知見の獲得にも繋がるかもしれない」と竹山氏。これからも研究者との連携を一層推し進めることで、植物の新たな可能性を引き出す研究を支援し、社会実装を促していきたいと考えている。

植物研究加速のための研究所構想

TypeXSでしかできない研究開発を加速するにあたり、現在、先端植物研究所の設立を進めている。この研究所では、TypeXSを多数設置し、様々な栽培レシピの開発を行う。研究所で生み出されたレシピは、植物工場で稼働するTypeMに展開することで、商業規模での作物の生産量増加や機能性の付加といった価値をもたらす。さらに、そこで得た収益の一部を研究所に還元することで研究開発を加速させるといった好循環を作っていく予定だ。量産の栽培に関するデータを蓄積し、新しい研究テーマの立ち上げに繋げることも考えている。“研究”と“量産”を継ぎ目なく連動させることで、栽培レシピを中心とした持続可能な産業を産み出していくことが狙いだ。「ゆくゆくは研究費で繋がった研究者と本研究所で共同研究に取り組んでいきたい」と竹山氏は意気込む。植物の可能性を引き出す研究の加速を目指す“先端植物研究所構想”。植物研究の成果が社会実装に繋がる新しい常識が創られる日も遠くないのかもしれない。

(文・花里美紗穂)

先端植物研究所における研究と量産の連携構想
先端植物研究所における研究と量産の連携構想

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