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第53回リバネス研究費 日本ネットワークサポート賞 受賞者「異方性粒子作製をボールミルでチャレンジする」松川 祐子さん

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九州大学大学院 松川 祐子 氏
九州大学大学院 工学研究院・材料工学部門 助教 松川 祐子 氏

採択テーマ

ボールミルによる大型ボトムアップが拓く配向性高機能熱電材料

九州大学大学院 工学研究院・材料工学部門 助教
松川 祐子 氏

異方性粒子作製をボールミルでチャレンジする

学生時代は応用化学の分野で研究に取り組んできた松川氏は、現在、材料工学の分野で助教の職にある。材料工学の研究では出口をより意識するようになり、この変化は松川氏に研究に向き合う新たな視点を与えたという。採択されたチャレンジングな研究テーマについて、着想とその先に目指す想いを伺った。

「私なら何ができるか」から生まれた新たなテーマ

第53回リバネス研究費日本ネットワークサポート賞の設置テーマは「微粉末化または高温焼成を必要とする夢ある研究」である。この公募情報を目にした松川氏は、「ボールミルを用いることで大きなものを小さく砕くのではなく、分子のサイズから粒子を作ることができないか」と発想したという。材料工学の分野で研究するなかで意識している「私なら何ができるか」という問いが、これまで扱ったことがないボールミルを従来の粉砕装置としてだけではなく、ボトムアップ型の粒子製造装置として捉えることにつながったのだ。さらに、粒子製造で対象に考えたのは、大量生産されることで産業的にもインパクトのある、熱電材料などの環境関連材料だ。

興味を持ったらまず試す

ボールミルによってボトムアップ型の粒子作製を行い、配向性粒子を得るというアイデアは、かなり独創的だ。もしこのアイデアだけで応募したのであれば、荒唐無稽なアイデアだと受け取られたかも知れない。しかし、松川氏は「予算がついたら研究してみよう」というタイプではなく「興味を持ったらまず試してみる」タイプの研究者であり、面談審査時には検証結果を披露していた。「所属機関にたまたまボールミルがあった」と松川氏は謙虚に話すが、この行動力は研究者として素晴らしい素養ではないだろうか。公募情報からアイデアを得た研究テーマであるが、応募して採択されることを目的とせず、まず自身の仮説に向き合う姿勢が感じられる。

2つの貢献を意識する

松川氏は「学理」と「社会」の2つに貢献する研究者でありたいという。学理への貢献は直ぐに社会に役立つことは少ないかもしれないが、時間を超えて結果として社会に還元されるだろう。一方、社会への貢献は、企業と組むことで効果的に実現できると考えている。「出口を考えてくれる方々と一緒に取り組むことで、社会に還元しやすく、成果にもつながりやすい」と松川氏は企業連携に積極的だ。企業連携の価値の実感は既に面談審査時のディスカッションでも得られているという。例えば、日本ネットワークサポート社が有するボールミルでは酸を用いることが現実的ではないといった現場の生の声だ。このような意見を踏まえつつ、ボトムアップ型の粒子作製の原理検証により学理に貢献し、「良いものを安く」という出口に寄与するべく、日本ネットワークサポート社と連携したチャレンジが始まる。

(文・岡崎 敬)

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