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第51回リバネス研究費 カイオム・バイオサイエンス賞 採択者「センサーから治療薬まで自らのアイデアで抗体の可能性を追求する」三浦 大明さん

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三浦 大明さん

採択テーマ

抗腫瘍メカニズムを多角的に発揮する新規低分子抗体 -乳酸酸化酵素融合タンパク質によるがん治療法の確立

東京農工大学大学院 工学府生命工学専攻 博士後期課程2年
三浦 大明 氏

センサーから治療薬まで自らのアイデアで抗体の可能性を追求する

抗体を用いたセンサー開発に取組んできた三浦氏は、これまでの自分の研究の延長線上から離れ、かねてからやりたいと思い続けてきた抗体医薬のテーマで申請し、採択を受けた。リバネス研究費で採択されたテーマの中でもゼロからスクラッチで立ち上げるケースは数少ない。新たな挑戦を始めた三浦氏にその思いを伺った。

多様な抗体研究が相互作用する場

三浦氏は今回の採択テーマとは全く異なる、抗体と酸化還元酵素を融合させて微量なヘモグロビンを検出するセンサーの開発を行ってきた。このセンサーは大腸がんで見られる潜血をより高感度で検出することにつながりうる技術で、第86回電気化学会で学生講演賞にも選ばれている。三浦氏が所属する浅野竜太郎准教授らの研究グループでは、新規分子の創生、機能デザイン、製造まで様々な研究が互いに刺激を与えながら共存する。例えば、がん細胞と免疫細胞をブリッジして、免疫細胞にがん細胞を効率よく攻撃させる低分子抗体の大量製造技術をはじめ、狙った部位だけで機能発現する人工抗体のデザインや、三浦氏が関わるセンサーのような新規分子の創生を目指した研究まで、非常に幅広い。この多様性が三浦氏のアイデアを醸成してきた。

研究費への申請が創薬に挑戦するチャンスに

「もともと免疫疾患に関心があって、抗体を使った新しいがんの治療方法を開発してみたいと思っていました」と語る三浦氏は、浅野氏からリバネス研究費カイオム・バイオサイエンス(以下、カイオム)賞を紹介された時に、チャンスが巡ってきたと考え、申請を決めた。採択された乳酸酸化酵素と抗体を融合させた抗体医薬の研究プランは、どのような特性を持った酵素を使うか、どのように腫瘍細胞を攻撃させるかなど、ラボの先輩たちや浅野氏との議論の中で生まれてきた。

実用化に向けた視野を広げてくれた議論

今回のカイオム賞では、実際にカイオムの研究開発を牽引している研究員が、申請者と議論する面談の機会が設けられた。「これまで研究室で、先生や先輩たちと研究のアイデアや結果についてたくさん議論してきましたが、産業応用の視点での議論は今回が初めてで、気づきがたくさんありました」と三浦氏は振り返る。特に、論文以外に特許を調べてみるとヒントにつながることもある、という意見は印象に残っており、早速面談後から取り入れているそうだ。本賞への申請を経て、三浦氏はアカデミックに研究を進めるだけでなく、いかに薬として利用できる形にするかという視点を得た。三浦氏にとって悲願であった、抗体を使った創薬への挑戦がいよいよ始まる。

(文・髙橋 宏之)

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