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第50回リバネス研究費 日本ハム賞採択者「男性ホルモンが超高齢化社会の健康アウトカムの鍵を握る」小林 拓郎さん

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採択テーマ

食事記録からみる男性更年期障害を予防するアンチエイジング献立の提案

順天堂大学大学院 泌尿器外科学 博士課程
小林 拓郎 氏

男性ホルモンが超高齢化社会の 健康アウトカムの鍵を握る

順天堂医院泌尿器科は、男性の健康に着目した日本で初めてのメンズ・ヘルス外来を立ち上げた。その専門性を生かし順天堂大学の小林氏は、食事摂取傾向とテストステロンの関係から男性アンチエイジングに向けた研究を行う。

足音なく忍び寄る課題

女性の閉経のような生理的イベントがないため認知されにくいが、男性にも更年期障害が存在する。血中の男性ホルモン濃度は加齢に伴い低下し、加齢男性性腺機能低下症候群(late-onset hypogonadism( LOH )症候群)を引き起こす場合があるという。男性ホルモンは筋、骨、中枢神経系、前立腺、骨髄、皮膚、性機能へ影響をもたらし、重要な生理的役割を担っている。ゆえにLOH症候群の症状は多岐にわたるのだ。精神・心理、身体、性機能に主に症状が現れ、具体的には意欲や認知力の低下、疲労感、イライラ、睡眠障害、内臓脂肪の増加、骨密度低下、性欲の低下などが挙げられる。LOH症候群は認知度がまだ低く、病名が分からず適切な治療を受けられずに苦しんでいる人も多い。

テストステロン値の個人差を探れ

近年、男性ホルモンの代表であるテストステロンをバイオマーカーに、アンチエイジング医学が世界で進んでいる。その中で小林氏は「なぜテストステロン値に個人差がでてくるのか」という問いを持つ。テストステロンは加齢、肥満、糖尿病や精神的ストレスで低下する一方で、漢方薬、運動、また、亜鉛やアリシン、カルニチンを含む食品の摂取によって上昇すると報告があるのだ。小林氏は、LOH症候群の患者ではそれらの食品の摂取頻度が低く、テストステロン値が低下しているのではないかと仮説を立てている。本申請では、アンチエイジングにむけた適正な献立を提案することを目指し、LOH症候群における食品の摂取量データを収集分析する。具体的には、約100種類の栄養素と約70種類の食品群の摂取量が把握できる簡易型自記式食事歴法質問票を用いて、LOH症候群と診断された群と健康な群の回答を比較することで、LOH症候群に関連する食品の摂取頻度を明らかにしていく予定だ。

科学的根拠に基づき、食でアンチエイジングを

「研究成果をもとに、将来は日本ハム社と一緒に個別のアンチエイジング献立まで開発したいです」と小林氏。高齢社会における男性の健康アウトカムの向上のためには、疾患の認知が必要であると同時に、日常生活からテストステロン値を改善するようなアプローチが必要だ。高齢社会におけるQOL向上は我が国にとどまらず世界の課題だ。米国での調査によれば、60代では20%、70代では30%、80代では50%の男性で、男性ホルモンが若年男性の基準値を下回っていたという。食という身近な手法でテストステロン値を改善できれば、社会に与える意義は大きいだろう。

(文・金子 亜紀江)

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