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第45回𠮷野家賞採択者「ストレスマネジメントで全ての人が活躍できる社会を」武藤 剛さん

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[第45回リバネス研究費𠮷野家賞]採択者インタビュー 
【採択者】
武藤 剛 氏(北里大学医学部 衛生学 講師)
【採択テーマ】
多様な文化圏出身者からなる職場のストレスマネジメントと組織活性化の提言~ストレスチェック多言語版の活用~
【研究費情報】
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多様な文化圏を背景にもつ人が活躍する職場において、日々のコミュニケーションで生じるストレスをコントロールすることは、グローバル化の進む日本で取り組むべき重要な課題である。北里大学医学部の武藤氏は、このストレスを可視化することで、より健康に働ける職場環境をつくるための研究を始めた。はたらく人、管理職、組織がストレスと正面から向き合った時、どのような未来が待っているのか、武藤氏から話を伺った。

ストレスの定量評価で人の健康に貢献する

 全身を診る膠原病免疫内科医として、また同時に企業産業医として働いた経験から、武藤氏は組織のストレスマネジメントと人の健康について強い関心を持つようになった。「産業医の特徴は、個人の健康状態から、個人の集合体である会社の状態を総合的に捉える視点を持つ点です」。精神的な疾病とは言えないまでも、高いストレス状態が慢性的に継続し結果的に自己の能力を発揮できない場面を、産業医としての同氏は何度も目にした。その中から、ストレスを低減化する職場マネジメント構造が根本的な解決策になるのでは、と感じてきた。わが国で急増しつつある、多様な文化的背景をもつ労働者から構成される職場環境で、これまで開発されてきた仕事に関係するストレスの定量評価ツールを切り口に、働くすべての人に貢献したい、という強い想いが、武藤氏の研究の原動力だ。

多様な感受性を理解しコミュニケーションを最適化する

 働く人の多様化は製造業や飲食業含め多くの業界で進んでいる。この変化はコミュニケーションの困難さにつながり、マネジメント負荷を増加させる要因になると考えられる。しかし、職場環境でのストレスの可視化の手法は、日本以外の文化圏では進んでいない。そこで、武藤氏を含む研究チームは、各文化圏の研究者の協力も得ながら、中国語、ベトナム語、タガログ語など、アジア圏各言語の妥当性を検証した職業性ストレス調査票外国語版を作成した。「作成した外国語版の実証調査を依頼した工場では、外国人労働者の出身圏がバラバラで、規模も小さく、サンプルサイズとして不十分でした。大規模なフィールド確保に悩んでいた時に目に飛び込んできたのが𠮷野家賞の応募テーマでした」。国内だけで1200店舗以上を有する𠮷野家では、多様なグローバル人材の老若男女が日々働いており、多様な文化圏を背景とする多様性に富む職場集団が全体として把握できることは、研究フィールドとして魅力的だった。そしてなにより働く人を大切にする𠮷野家のビジョンに強く共感したことが、応募の決め手となった。

働く人の価値を最大化する飲食業界

 𠮷野家賞に採択された武藤氏は、店舗を研究フィールドに、調査票を用いたストレス評価や多文化圏出身者に対するインタビューを通して、まずは互いのコミュニケーションミスに影響する文化的因子の探索を行う計画だ。この調査票は集団分析にも適していることから、更なるコミュニケーション深化に活かしていけるという。グローバル化の流れは今後も加速していき、コミュニケーションの機会は更に増えて行くだろう。武藤氏との連携から生まれるマネジメント手法が、国籍や人種に関係なく、どんな国でも自分のポテンシャルを最大限発揮する働き方ができる未来に繋がっていくはずだ。 (文・尹晃哲)

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