リバネス研究費

  • HOME
  • 実績
  • 第46回リバネス研究費 クボタ イノベーションセンター賞

2019年9月公募第46回リバネス研究費

第46回リバネス研究費 クボタ イノベーションセンター賞

募集分野

農業の改革に繋がる全ての研究

農作業の省力化や精密化に限らず、農作物の加工、流通、販売も含めたフードバリューチェーンの革新、持続性向上に繋がる幅広い研究テーマを募集します。

設置企業・組織 株式会社クボタ
設置概要

■採択件数 若干名
■助成内容 研究費上限50万円

スケジュール 応募締切:2019年10月31日(木)23:59まで
募集対象 大学・研究機関に所属する40歳以下の研究者
・海外に留学中の方でも申請可能
・研究室に所属して研究を始めていれば、学部生からでも申請可能
担当者より一言
クボタはトラクタ、コンバイン、田植え機等の販売・サービスを通じて人々の食を支える農業の効率化・軽労化への貢献に取り組んできました。国内では農業従事者の減少・高齢化が進んでおり、ますますそれらの重要性が増しています。また、世界の人口増加に伴う食料増産ニーズは避けられないグローバルな課題です。これらの社会課題を解決するためには、AI、IoT、ロボット等の要素技術の発展、実用化は不可欠となっています。クボタは、熟練作業者の経験に頼った伝統的なスタイルから、収集・蓄積したデータの分析や自動機等を活用した効率的で省人化された農業への変革を進めています。さらなる変革の加速に向けた、独創的な研究や先進的な研究を幅広く募集します。
設置企業インタビュー記事

研究者と共に農業を革新し、農業者へ新たな価値を提供する

クボタは農機メーカーとして日本の農業、ひいては世界の農業に貢献してきた。 近年の急激な技術革新のなかで、農業への技術適応や農業者のニーズに迅速に対応していくため、先進技術の取り込みを積極的に進めていくべく、2019年6月にイノベーションセンターを設置した。 今後、本センターで研究者と連携していきたい取り組みについてお話を聞いた。

イノベーションセンターが拓く外部連携

クボタは、1890年の創業以来、当時流行していた伝染病から人々を守るための水道管の国産化や、戦後の深刻な食料不足に対応するための国産初の畑作トラクタの製品化を行うなど、社会課題の解決を図ってきた。現在でも農機、建機、エンジン等の機械事業分野や水処理等の水環境事業分野で研究開発を進め、国内外に製品を提供している。
近年、機械事業では中国やインドといった新興国のメーカーも急速に成長し、競争が激しくなっている。さらに、情報通信技術等が発展し、多様な技術を組み合わせた開発も求められるようになってきた。社内の技術者のみで製品開発を進めていては、環境の変化のスピードについていけないことが目に見えてきた。これら背景から、積極的に外部リソースを活用し、ICTやAIなどの様々な技術を取り込むべく2019年6月にイノベーションセンターが設立された。

農業の課題解決をベンチャーや大学と目指す

本センターでは、既存事業部の枠にとらわれず、社外パートナーへの出資や共同研究を通じてオープンイノベーションの推進を図りたいという。「ものづくりを130年程続けてきたなかで、製品開発プロセスが保守的になっている部分がある」と滝川氏。社内の発想では生み出せないようなアイデアや技術を、ベンチャーや大学から取り入れ、社内の技術者と共に製品やサービスへの活用を狙うのが本センターの役割だ。大学の技術、ベンチャーの製品・サービスのフェーズよって、短期的なものだけでなく長期的な視点からも事業化を推進していきたいと話す。国内では農業従事者の減少・高齢化が進んでいるが、グローバルに目を向ければ人口増加に伴う食料増産が求められている。クボタが外部連携によって目指すのは、これら諸問題を解決し、農業全体を支えるためのフードバリューチェーン全体におけるソリューションの提供だ。

既存製品領域の枠を越えた事業展開

このような国内外の社会課題の解決に向けて、2つの方向性でアプローチを進めている。ひとつめはフードバリューチェーン形成につながる取り組みだ。これまでは、田植えや稲刈りといった農作業の機械化を進めることで価値を提供してきたが、調達、加工や流通、販売といったフードバリューチェーン全体を見渡して農業者に価値を提供できないかを考えていきたい。そして、もうひとつは農作業自身の革新だ。例えば複数の作業をカバーする機械や、様々な作物に対応できる機械の投入である。これまでもクボタは、農業従事者の省力化・軽労化につながる農機を提供してきた。しかし、野菜や果樹栽培における中間管理作業等はまだ手作業に依存する部分が多く、機械化されていたとしてもそれぞれ作業に特化した専門機械が多いのが現状だ。センシングや制御、ロボティクス技術の発達によって、1台で多様な作物、多様な作業をまかなう機械を開発することで効率化に貢献できないかと考えている。

農業の革新につながる研究を求む

「農機メーカーですが、機械を売るだけでなく、農業の価値向上に貢献する会社という視点で考えてもらいたい」と滝川氏。クボタイノベーションセンター賞へ申請を考えている研究者には、クボタだからトラクタ、コンバインという視点で考える必要はないという。フードバリューチェーンや農業の様々な課題へのソリューションに資するものであれば、研究テーマはハードウェアでもソフトウェアでも構わないそうだ。クボタは、農機などを通じて日本全国、世界でもネットワークがあり、地域特有の課題解決に関するものにも興味があるという。広い視野で、農業や農業者に技術や価値を提供するための研究テーマを考えてきて欲しいと期待している。申請してきた研究者や研究室とともに長期的な視点で共同研究を進めていきたいと滝川氏は話してくれた。 (文・宮内 陽介)

現在募集中のリバネス研究費